レスポンシブ広告




R3Magazine-Web アルバム作品レビュー アーティストレビュー レビュー

駆け抜けた"夕立"と、その姿を追ってたどり着いた明日。夕立P / AfterRain

更新日:

各楽曲レビュー

1 Force of Will (VOCALOID ver)

元は、Instとして製作された楽曲だが、AfterRain用にVOCALOIDのInst的な歌唱が追加された。情緒性・幻想性の高い重厚でゴシックな楽曲。結月ゆかりとIAの声の重なりとその膨らみの美しさが非常によく調和している。やや音の透明感に欠けるところもあるが、たっぷりとその美しい旋律を楽しむことができる。

なお、Inst.verは今日現在聴くことが出来ず、公開された際も次のアルバムに向けての製作中の楽曲の一つとしてのお披露目であったので、実質的描き下ろし楽曲となっている。
Inst.verは壮大な楽曲を集めたコンピレーションアルバム『ONNUEHO 5th Edition』の第4章、Tr.5に収録されている。楽曲の立ち位置としては、続くTr.6『Life Stream / Winna Strive』のIntroduction的な雰囲気となっている。偶然にもこの2曲、どちらも3拍子の楽曲に仕上がっている。(タチやん)
ONNUEHO 5th Edition 特設ページ:https://conarrcmpkyo.wixsite.com/epic-compilation5

2 After Rain

冷たい雨の世界とその後(AfterRain)のお話。SoundCloudにも投稿されているが、実質としての描き下ろし楽曲。楽曲中歌詞は、"雨の中"が中心だがその次こそが、大事なことなのだと気づかせてくれる。最近のポップスよりの夕立Pの楽曲としては、それこそ一番の出来。歌唱にかかっているエコーが実に効果的で、ともすれば単調になりがちなこの楽曲に厚みを与えている。

(なお楽曲の着想は、ジャケット担当の葛城アトリ氏が参加していたとある企画から(タチやん))

3 CTS (2015)

元は初音ミクの歌唱で制作された楽曲を、結月ゆかりとIAでカバーしたもの。インダストリアルもどきというよりは、よりテクノポップに近い。いつもの憂鬱とした楽曲ではなく、芸術に対するアイデンティティを歌った、夕立Pの楽曲群の中ではテーマ的にも珍しい部類。

歌詞の言葉傾向はいつもの楽曲の陰鬱とした表現に含みをもたせた歌詞に、アダルトな表現も採用し「いかがわしさ」を持たせている。オリジナルと芸術性というデリケ―トでセンシティブな問題をテーマにしているが、そういう意味で目立った楽曲にはならなかった。

4 Bad Apple & Good Orange (2016)

元はSC-88Proで作曲された雨鳥ユウイによる楽曲を、初音ミクとロジックでリファインし、さらにそれをアルバム用に結月ゆかりでカバーしたもの。爽やかで可愛い系の楽曲に思えるが、私というBadAppleとGoodOrangeというあなたのフルーツバスケットを歌った、ドロドロした曲。

収録曲の中ではもっとも音がチープな曲。前後の「CTS」と「Nostalgia」と比べただけでも、もっと単純で飾り気のない音となっているが、それは元がSC-88Pro(MIDI音源)で製作されているためだろう。歌詞の内容共々、2015年以前の"タチやん"の楽曲感がアルバムの中で最も強い。

5 Nostalgia (2017)

ただよう様な浮遊感の中に、気持ちのよいピコピコとしたメロディに、懐かしさを感じるゆったりとして柔らかな雰囲気が気持ちの良い曲。しかしながら内容は、"Nostalgia"のタイトル通りに、懐古的でかつ大人になれない大人の幼さの一種残酷的な絶望の曲。構成と内容的には「AfterRain」にも通じる。

6 Lady,Lady (2016)

「Rainy,Rainy」から続く、HOUSE・ポップスをメインとした「リフレイン」シリーズの中でも、ちょうど中頃にリリースされた楽曲。また、夕立Pの投稿した曲の中でも、屈指の人気を誇る。アダルティックな歌詞と音だが、オケ・ボーカル共に、全てiPadで製作されているなど、全ての要素において、堂々と夕立Pとしての代表曲である。

結月ゆかりの艶やかな歌唱だけでなく、ドンチキとしながらもゆったりとしたムーディーなHOUSE(あるいはテクノポップやAORともとれる)は、静かながらも激しく、一見冷たくも熱く燃えるような紫の炎であり、油断すれば火傷をしそうになる。

7 Rainy,Rainy (2015)

夕立Pとしての原点「レイニーレイニー」を、結月ゆかりでカバーしたもの。夕立Pの名前が付いた記念すべき楽曲であり、その後続く「リフレインシリーズ」の原点。すなわち「夕立P」はここから始まったとも言える。必ず触れるお約束をまもるのならば、「幽遊白書」のオープニングを感じさせる楽曲。

「Lady,Lady」同様にアダルティックな歌詞と、ムーディーな雰囲気が特徴であるが、色気はこちらのほうが少なく、おしゃれに仕上がっている。むしろ、少女のように恋い焦がれる熱い思いと、雨の匂いのような気だるさとくすぐったくなるようなアンニュイな寂しさが、鼻をくすぐるように抜けていく。

レイニーレイニーを始めとした、リフレインシリーズは、boothにて頒布されている『夕立リフレイン 午後4時30分(EP)』にも収録されている。レディーレディーまでのリフレインシリーズに加え、非公開曲の「クレイジークレイジー」並びに、レイニーレイニーのOLDver(vo.UTAU音源『緋惺』)も収録されているので、オススメしておく。

夕立リフレイン 午後4時30分:https://mofday.booth.pm/items/269623
夕立フィードバック -レイニーレイニーRemix compilation-:https://mofday.booth.pm/items/100945
夕立フィードバックレビュー(むじかほ~音楽雑記彼是)

アンニュイでレイジーな歌モノハウス。夕立P feat.結月ゆかり/ レイニーレイニー

8 Long Road (2015 / 2017)

夕立Pの「リフレインシリーズではない代表曲」を上げろと言われれば、間違いなくこの「ロングロード」である。おそらく、夕立P自身がかなり気に入りとしている曲の一つでもある。タイトルはロングロードとなっているが、収録されているのは、「ロングロード -INCH UP-」verを更にブラッシュアップしたもの。曲自体も各所ブラッシュアップされているが、INCH UPverの方は、通常版にはないストリングスの前奏が入っているのですぐに聴き分けられるだろう。

また暗く、陰鬱とした夕立Pの楽曲の中でも、もっともといえる程に広がりと明るさを持つ曲でもある。「交わるロングロード」「広がるロングロード」という明日への道への期待と希望に、先の見えぬ長く辛く厳しい旅路への不安と痛みが入り交じる。ハードロック・エピック的ポップスが交差した、重くてカッコイイ楽曲。

音色のエネルギッシュなごった煮。夕立P feat.結月ゆかり&IA / ロングロード

この旅路はまだ続く…そんな意味を超めたアルバムの締めくくりである。


制作

作曲:夕立P(@mofday)
夕立Pマイリスト:http://www.nicovideo.jp/mylist/37462672
ジャケット:葛城アトリ(@atori_ragi)

Buy Link

特設ページ・歌詞掲載場所

https://mofday.info/after-rain//

Pick up!!

17,824view

まぁ要するにただのまとめ記事です、ただネット上に情報がバラバラになっていると、それはそれで見辛いものがあるのでここらで一 ...

2,915view

8.そういうお前はどうなのか ここまでは王道路線について述べてきたが、そろそろ「ところで、お前は一体どんなスタイルで活動 ...

891view

今更ですが、オフレポみたいなものです。こんにちは、主催のタチやん(@mofday)です。 第25回文学フリマ東京に、サー ...

-R3Magazine-Web, アルバム作品レビュー, アーティストレビュー, レビュー
-, , , , , , ,

おすすめ記事と広告

Copyright© 同人音楽レビュー・エンターテイメント企画『R3Magazine』 , 2019 All Rights Reserved.