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R3Magazine-Web アルバム作品レビュー レビュー

11人の色に染まってみた。『Unknown - Dimension / U.I.2nd』

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さてさてはじまりました、2018年M3春の新作レビュー!今回はR3Magazineはサークル参加・発行もおやすみということもあり、Web上での新作レビュー掲載となっています。M3春の新譜レビューを、どこよりも早くお届けさせていただきます!

さて今回は、清水嶺さん(@Rei_shimizu)の個人サークル『Unknown - Dimension』から、11人の方々とのコラボをテーマとした作品『U.I.2nd』を、サークル『EBI ZANMAI』EBIさん(@EBI_at_EZ)にレビューをしていただきました。
それでは、ご覧・ご試聴ください!

――ここまでタチやん(@mofday)


●どういったアルバムなの?

サークル「Unknown - Dimension」による2018年春の新譜「U.I. 2nd」。
「U.I.」のテーマは、シリーズを通して「合作」となっており、今作も主催の清水嶺氏が様々な分野のアーティストとコラボレーションした楽曲が納められている。

清水嶺氏は、コラボ相手の得意とする楽器・作編曲手法・マインドなどに合わせて合作の手段を変えており、収録曲のバリエーションはかなり多岐にわたっている。それにもかかわらず、アルバム全曲通して聴いても非常にまとまっており、寧ろお互いの個性が最大限に引き出されていることに驚いた。このような企画は、清水嶺氏自身が各コラボ相手のことをよく理解し、オールマイティ且つフレキシブルな対応が可能でないと実現が難しいと思えるが、そういった難関は完全にクリアされているように感じた。

●トラックリスト

Track 01: Dark in the sunset
Track 02: Fodla
Track 03: 虹の精霊
Track 04: Deep puddle
Track 05: みちばた大道芸
Track 06: My favorite Cheesecake
Track 07: CANTABILE!
Track 08: You and I
Track 09: ゆふつづみゆるまほろばより
Track 10: Cross Fantasia
Track 11: From sunset to sunrise

●各曲レビュー

Track 01: Dark in the sunset

出だしから入っている北欧の民族楽器イーリアンパイプス(バグパイプの一種)が印象的。この楽器、いわゆる民族音楽では打ち込み音源として使用されているシーンは多いが、本楽曲ではコラボ相手のKou Ogata氏による生演奏が収録されている。
壮大な空に流れる雲、赤紫に黒くなっていく地平にシルエットを残す大自然。そんな景色に、咽び泣きたくなるような音色のイーリアンパイプスが響き渡る。いきなり没入感の高い楽曲から始まる。

Track 02: Fodla

清水氏が用意したアイリッシュの旋律に対して、オーケストラの作編曲を得意とするKyocmp氏がアレンジを加える形でのコラボとなる。
メインメロディを務める笛は恐らく音源によるものだとは思うが、直前の生イーリアンパイプを聴いた後でも何の違和感もないくらい高い完成度で打ち込まれている。そのメロディをブラスやパーカッションなどのリズムがしっかりと支えており、曲全体を通じて心地よく聴く事が出来る。
また、前半と後半で曲にコントラストが付けられており、ドラマチックな展開が胸を打つ。このアレンジは圧巻である。

Track 03: 虹の精霊

さいとうみちる氏との歌唱によるコラボ。とにかくこの清涼感あふれる声が素晴らしい。力強さと儚さが同居しているとでもいうのだろうか。前奏の時点で感じる「この後こういう声が来てほしい」が見事に実現している。
声については、はじめはメロディを担う2本の旋律のハーモニーが素朴に楽しめ、徐々に対旋律や曲を支える和音などが増えてゆき静かな雰囲気から次第にゴージャスなサウンドへと変化していく様が面白い。
清水氏が「この声のためのアレンジ」に徹底しているのもとても素晴らしいと思った。

Track 04: Deep puddle

エイジャ氏の演奏によるギターと、清水氏の演奏によるハンドパン(金属製の鍋のような形をした、音階のある打楽器)を主体とした楽曲。決して楽器数が多いわけではないのに静かに燃える情熱を感じる。ギターの奏でる艶やかな旋律とリズムがとてもカッコイイ。一言で表すならば"最高にクール"である。
アレンジはあくまでセッション形式に徹底しており、カフェバーなどのライブ感が楽しめる。ハンドパンという楽器の性質を鑑みていかにアンサンブルに組り込むか。そんな工夫や模索が見られる意欲作だ。

Track 05: みちばた大道芸

5曲目はイージーリスニング感の高い楽曲。高まりに高まった感情に一旦ひと段落が付けられる、というありがたい配慮を感じた。個人的には「こういうのあるある!」がたくさん詰まっていて聴いていて思わずニヤリとしてしまった曲でもある。
小埜寺(奏り屋)氏の演奏するフルートの音色は、のびやかでありどこかワクワクさてくれる。この曲でもセッション色が織り込まれており、ピアノとの掛け合いは清水氏との対話のようにも聞こえる。「こう演奏したけど、どうよ?」「そっちがそうくるなら、こっちはこうだ!」みたいな(笑)

Track 06: My favorite Cheesecake

ラウンジと民族がブレンドされたようなゆったりした楽曲。旅の途中、前曲でどこかの町に着いて大道芸を見た後に、窓越しに町の様子を見ながらカフェで一服、といった感じだろうか。安心・懐古・休息、そういったワードが頭を巡るオトナな癒し系の楽曲である。
コラボ相手はバイオリン演奏のhiyama氏。私は同氏のアルバムも所持しており、そちらだとモーダルで早い曲を沢山作曲・演奏されているイメージを持っていたのだが、こういった素直でゆったりした演奏が聴けるのは珍しいなと思ってしまった。目をつぶってじっくり聴き入りたくなる、そんな素敵な音色でした。

Track 07: CANTABILE!

さてこれまでとは打って変わって、さわやかポップでダンサブルな楽曲が登場する。アルバムもここからが後半戦かな?と思わせる。
何か新しい事が始まるような、そんなワクワクした気持ちがブーストされるノリノリの一曲。清水氏のピアノをアレンジしたのはGowrock氏。ビートの鋭さやシンセサウンドの音選びなど、とにかく音づくりがとても心地よい。ギター、ピアノ、ストリングスといったアコースティックな楽器も沢山入っているのに、楽曲自体からは強くデジタルを感じる。それでいて全ての音が馴染んでいるのに驚きだ・・・これぞアレンジの妙と言える。

Track 08: You and I

アルバムタイトルをもじったとも思わしき非常に強いメッセージ性を感じるこの楽曲は、ユニット「The Spring Beach Works.」とのコラボ。ボーカルが「声」ではなく「楽器」のように聞えてくる、アダルティかつ不思議な曲。ジャンルで例えると難しいため説明しづらいのだが、敢えて付けるならば「上等な声遊び」と例えたい。
この楽曲だけが他の楽曲とは異なり、作曲・編曲が明確に区分されておらず両者入り組んだ制作となった様子が伺える。この曲をはじめて聴いた時、まるでパズルのように必要なものが必要な場所に埋められていっているような感覚に陥った。作編曲はボーカルの強烈な個性を際立たせるために在り、そしてボーカルはそれに応えるよう音のピースを巧妙に縫い合わせている。

Track 09: ゆふつづみゆるまほろばより

クラシックに畑を持つべに氏とのコラボ。フレーズごとにリレーをしてキャッチボール方式で仕上げたという一曲。両者ともクラシックに強みを持つということで、正攻法の室内アンサンブルが実現されている。
長く動きのあるものというよりは、一枚の絵画、日々の生活の中に訪れる冬(初冬かな?)という情景描写のような趣を感じた。この辺りの雰囲気づくりは、べに氏の所属するサークルが出しているアルバム「遠い国(視聴覚コンピ)」のコンセプトとも似たものを感じた。

絵と音で、目も耳も覆い尽くされて楽しむ世界。何度でも死ねる / 視聴覚表現作品集 遠い国

今回レビューするのは"ポガティブ"というポジティブ×ネガティブという不思議な概念を提唱しているサークル『何度でも死ねる』 ...

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Track 10: Cross Fantasia

コラボ相手のつばさくん氏が作曲した楽曲を、清水氏がリアレンジするという方式で制作した一曲。
お二人の付き合いは長くお互いに勝手知ったるということもあると思われるが、この手法での合作はとても相性が良いのではないかと感じた。この楽曲において、両者をつないでいるキーワードは「哀愁」ではないだろうか。スペイン系ケルトの流れベースにしていると思われるアレンジがとても心に染みる。
なお、この楽曲で曲調が再び民族調へと戻ってきており、これによりアルバム自体の終局を感じさせている。このあたりの演出の巧妙さは流石としか言いようがない。

Track 11: From sunset to sunrise

最後は歌と歌詞を担当したという 8 氏との合作。アレンジはピアノ&奥まったストリングスと至ってシンプルだが、これが控えめ(もちろん良い意味)でありながら最大限にボーカルの良さを引き出している。清水氏のアレンジ力の粋を見た気がする。
8氏の歌には圧倒的な「意志力」がある、とにかく力強い。これは音の大きさとか声量などといった強さの事ではない。上手く言語化できていないが、大げさに言うならば魂の乗せ方(込め方?)が素晴らしいということなのかもしれない。勿論、当楽曲も例に漏れずこの独特の「意志力」が存分に乗せられており、聴いていてとても心地よい。

●最後に

こちらのアルバムは、前回2017年秋に公開された第1作「U.I. 1st」の続編となる。本誌や新譜情報に触れ、気になったという方は是非そちらもチェックしてみてはいかがであろうか。

「U.I. 1st」特設サイト

特設サイト

文責:EBI(@EBI_at_EZ)

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