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The VOCALOID Collection -ボカコレ- 2020 Winter おすすめ12曲レビュー!!

20201211日~13日にかけて、「The VOCALOID Collection -ボカコレ- 2020 Winter」が開催された。これは「Vocaloidにまつわるさまざまな企画が繰り広げられるイベント」として「ニコニコネット超会議」のスピンアウトとして企画されたものだ。(当然主催は株式会社ドワンゴ)

The VOCALOID Collection

https://vocaloid-collection.jp/

-ボカコレ- 2020 Winter とは?

このボカコレ開催中の3日間は、完全にお祭り騒ぎの状態であり、「プラットフォームの垣根を越えて」様々なイベント・企画が開催された。そのすべてを追いかけられた人は多分いない。それほどまでに充実した3日間であった。この熱狂はボカロPだけではなく、ボカロを視聴するリスナーにとっても非常に熱の入ったものであり、かなりの盛り上がりを見せた。(この盛り上がりのままに、既に2021年春「ニコニコ超会議2021」との同時開催が決定されいてることを付記しておこう。)

「豊洲PIT」では「ボーカロイドの誕生からこれまで歩んできた日々を振り返り、そして未来をともに描いていく1日限りのスペシャルライブ」として第一部と第二部に別れた、「The VOCALOID Collection LIVE」が開催。八王子P、ピノキオピー、DJ’TEKINA//SOMETHING a.k.a ゆよゆっぺといったボカロPの出演の他、+α/あるふぁきゅん。、小林幸子といったアーティストが出演している。

また「Booth」でWEB即売会「BOOTH Festival ボカコレ回」が開催。BOOTH内にボカコレ特設会場が開設され、多くのクリエイターやボカロPCD・グッズを頒布していた。(ボカコレ回 https://booth.pm/ja/exhibitions/bf-vocacolle

そして運営上のWEB上でのメイン会場となる、「ニコニコ生放送」では「ボカコレステーション」「ボカコレクルーズ」「ライブ」の3つの会場が設営され、「ボカニコ」「ボカロソングリクエストコーナー」「ニコニコ超パーティー20162018のボカロLIVE再放送」「JNVAクリエイター入門講座」「ボカロP対談」「歴代人気ボカロMVクルーズ」他、後述する企画内容に絡んだ「ボカコレプレイリスト」「ボカコレTOP30ランキングクルーズ」や、先述の「豊洲PITでのLIVEの生放送」など、多くの企画が長時間に渡って放送さ大いに盛り上がった。

しかしながら、メインとなるのはやはり「ボカロ曲」であり、それが投稿される「ニコニコ動画」だ。当然ここでもボカコレの"メイン"とも言える企画が行われた。「クリエイター応援大作戦!」として、「期間限定のランキング」が設定され、その順位を競い合うという企画で、「ボカコレTOP30ランキング」「ボカコレREMIXランキング」「ボカコレルーキーランキング」「二次創作ランキング(踊ってみた/歌ってみた/演奏してみた)」の6ランキングが設定された。なんと、このランキングの結果次第で、楽曲制作者に協賛企業からの報奨金が支払われる。(協賛企業「東武トップツアーズ株式会社」、「ピクシブ株式会社」、「株式会社NexTone」)さらには「ボカコレTOP30ランキング」「ボカコレルーキーランキング」の上位3曲はカラオケ配信が決定となる。

※なお、ボカコレでいう「音声合成ソフトウェア」は、代表的な「VOCALOID」を始めとして、「UTAU」、「CeVIO」、「SynthesizerV」といった有名所から「VOICEROID」といった歌唱向けではないものに、あたらしい音声合成ソフトウェアである「NEUTRINO」なども対象とし、それ以外にも「音声合成」であれば、全ての音声合成ソフトウェアが対象となった。

この企画の最大の目玉が、「ボカコレTOP30ランキング」だ。このランキングは『VOCALOIDなどの「音声合成ソフトウェア」を使用したオリジナル楽曲ランキング!』として、そのTOP30を争うランキングとなっている。なんとランキング1位のクリエイターには100万円、2位には50万円、3位に20万円、そして45位には10万円の「総額300万円」の賞金が進呈される。

もう一つの目玉が、「ボカコレREMIXランキング」だ。こちらは、多数の有名Pが楽曲の「Stemデータ」を提供し、そのSTEMデータを利用したREMIX楽曲によるラキング競い合った。この企画のために「アルティメットセンパイ/ピノキオピー」「乙女解剖/DECO*27」「キレキャリオン/ポリスピカデリー」「SweetDevil/八王子P」「ダーリンダンス/かいりきベア」「ちがう!!/カルロス袴田」「ダンスロボットダンス/ナユタン星人」「Hand In Hand/kz (livetune)」「ポッカデラベリタ/柊キライ」「MACARON/ATOLS」「メルティランドナイトメア/はるまきごはん」など、誰もがしってるような有名曲のSTEMデータが配布された。

さらには「ボカコレルーキーランキング」というのも設定された。こちらは「ボカロPデビューしてから2年以内」の新人を対象にしたランキング。つまりは、「新人ボカロP」にスポットをあてたランキングだ。(さらには、このボカコレを契機に「ボカロPデビュー」といったところも狙ったものになっていると考えられる。)

また忘れてはならないこととして、このボカコレの盛り上がりには「ニコニコ動画」の中の人の積極性が感じられたことも大きい。ニコニコ動画代表の「くりたしげたか」氏は、開催期間中に投稿された「全1024動画*1」を巡回し、ツイッターで紹介したり、プレイリスト*2を制作。他にもツイッター上で、「#栗田よ見て」で多くのユーザーからの意見やおすすめを集め、その多くを拾い上げていた。他にもボカコレに関するツイートをいくつかしており、ボカロ曲だけでなく、ボカロ文化を積極的に育てようとする姿勢が見えた。*3

*1
https://twitter.com/sigekun/status/1338483932241616897
「ボカコレ2020冬」タグがついた動画数

*2
https://twitter.com/sigekun/status/1338686354713001985
「ボカコレ202030選」「ボカコレ2020冬投稿曲もっと伸びろリスト」「ボカコレ2020冬投稿曲ルーキー部門推し曲」

*3
https://twitter.com/sigekun/status/1338153303205560322

#ボカコレ というイベントを通してあなたの好きが見つかったり見つけてもらうことを願います」

他、期間中多くの動画の紹介ツイート(しかもコメントを添えて)をしている。しかもリアルタイムであり、開催中3日間、ずっとボカコレの投稿動画を確認したということである。また、期間あとにも動画の【マイリスト】ツイートなどを行っている。

このように「LIVE」「オンライン即売会」「生放送」「ボカロ動画」と、多くの方面から、「ボカロP」と「リスナー」だけではなく「プラットフォーム運営者」まで巻き込んで、「ボカロ文化」といったものを盛り上げようとした企画が「ボカコレ」であった。そしてその結果、狙った通りにボカコレ開催中の3日間だけではなく、ボカコレ開催後にも大きな影響を残すことに成功した。

その中でもやはり大きいのは、「ボカロ曲」投稿の活性化であろう。具体的なデータは、ニコニコ動画周りの数字に強い人に効かなければわからないが、このボカコレ開催週のVOCALOID動画の投稿数は、「VOCALOID動画投稿数2038件」の「ニコ動史上最多」*4の記録を出しているし、多くのボカロ曲のリスナーが多数の楽曲の前に、現在においてもその楽曲のすべてをチェックしきれいていない状態にある。

*4

あー @l0_0l333K

体感であり正確な数字ではないが、筆者が確認したボカコレ開催期間中の「24時間以内に、ボカロ系のタグをつけて投稿された楽曲」の検索結果の推移は次のとおりである

*5
10日 PM11:56140件」(参考値)
11日 PM06:08430件」PM07:21513件」PM08:14590件」PM09:11643件」PM10:21663件」PM11:38678件」(前日同時間比+538
12日 AM03:32550件」AM11:23545件」PM10:53440件」(前日同時間比-238
13日 AM00:46448件」AM10:58472件」PM11:12444件」(前日同時間比+4
14日 PM11:49142件」(前日同時間比-302)(参考値)

*5
https://twitter.com/search?q=%E3%82%BF%E3%82%B0%E6%A4%9C%E7%B4%A2%E7%B5%90%E6%9E%9C%20from%3ASTERN_jp&src=typed_query&f=live

検索方法
VOCALOID OR UTAU OR NNI OR ニコニコインディーズ OR Cevio OR Alter/Ego OR 歌うボイスロイド OR SynthesizerV OR SynthV OR NEUTRINO(歌声合成エンジン)
「投稿日時/24時間以内」「ジャンル/指定なし」

https://www.nicovideo.jp/tag/VOCALOID+OR+UTAU+OR+NNI+OR+%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%BA+OR+Cevio+OR+Alter%2FEgo+OR+%E6%AD%8C%E3%81%86%E3%83%9C%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89+OR+SynthesizerV+OR+SynthV+OR+NEUTRINO%28%E6%AD%8C%E5%A3%B0%E5%90%88%E6%88%90%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%29?f_range=1&sort=m&order=d

前日同時間比は、厳密に同じ時間ではないが、前日のほぼ同時間に取得したタグ検索結果を比較したもの。

参考として、普段のタグ検索結果は「NNI」を含む上に「ゲーム実況」「トークロイド」「ニコカラ」「MMD」「動画紹介動画」などのタグを排除していないので、実際のボカロ楽曲数としては平均して3割~4割程である。(体感であり、実際はもっと少なかったり多かあったりする可能性がある。)ニコカラなどが投稿されると1ページ(4×8=32動画)にまるまるニコカラ動画が並ぶことも少なくない。普段のタグ検索結果は100件~200件の間であるので、だいたい30曲~50曲程度が平均値となるのではないだろうか。

それが、このボカコレ期間中は、7割~8割程(体感)がボカロ曲の動画で占められていた。投稿楽曲数も普段の100200ではなくて、初日600台から、2日目、3日目も400台を維持しており、「初日が一番多かった」が、「初日に投稿が集中した」訳ではなく、期間中平均的に多くの楽曲が投稿されていたのがわかる。3日間での、大体のタグ検索結果の合計は「1,500件」程でありこの「7割」は「1,050件」程になる。くりたたかしげ氏の「全1024動画」という言にも一致するので間違いないだろう。

すなわち、普段3日間というのは多くて「100曲」未満しかないところ、この3日間で「1000曲」程度のボカロ曲(動画)が投稿されたことになり、これはつまり「普段の30日分」つまり「1ヶ月分の楽曲数」に相当する。このように楽曲投稿が集中するのは、831日の「ミク誕」があるが、その勢いを遥かに上回る盛り上がりを見せたのが、このボカコレ3日間なのである。

ネット上の来場者数も「104万人」、投稿された動画数は二次創作や上記タグ検索結果に引っかからなかったものなども含めると「2000件以上」*6投稿されたことがメディア向けにプレスリリースされている。

*6
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000060989.html

さて、「ボカコレ」期間にあわせて多数のボカロ曲が投稿されて大いに盛り上がった。ボカロPだけではなく、ユーザー(リスナー)と運営を含めて、多数のプレイリスト(マイリスト)を制作したり、ツイッターやその他生放送などを通じて多数の曲のピックアップもおこなれたし、その甲斐もあって、多くのボカロ曲が多くのリスナーに届くことになった。ランキング争いも熾烈に行われたし、ルーキーのボカロPのデビューもあった。そしてリスナーも多くの曲を聴くことができた。

しかし、いかんせん「1000曲」というのは、かなりの曲数であった。これをもし「すべてを最初から最後まで、きっちり全部聴こう」と思ったらどうなるだろうか。中には短い曲もあるだろうし、長い曲もあるだろう。仮に、一曲3分~5分ぐらいだとして「平均が4分」だとしても、「1000曲」というのはなんと「4000分=66時間」である。一日起きてる時間をすべて視聴時間に割り当てたとしても、ボカコレの3日で聴けるのは「45時間(9時間睡眠)」しかない。実際には仕事だったり、食事だったりと生活というのがあるので「普通のリスナー」が、ボカコレ3日間で視聴に当てることができた時間は「多くて6時間(一日あたり2時間)」ぐらいだろう。これは曲数としては90曲程全体の1割にも満たない。(実際には「頭から最後まで聴く」というのはかなり非現実的である。)

「最後まで聴かなかった」としても、ボカコレ開催期間中に、すべての曲をチェックするのはかなり難易度が高い。そもそもがすべての曲をチェックするリスナーは少数だし、なにより1000曲という数では、気になった曲ですら満足にチェックすることはできない。結果として、ボカコレ期間中に聴けたのはほん一握り程(それでもかなりの曲数)で、多くのリスナーは「俺達のボカコレはこれからだ!」と、ボカコレ終了後も多数の新曲を確認しつづけることになった。

つまりは、ボカコレで「盛り上がった分」だけ、聴かれはしたかもしれないけど不運にも「埋もれてしまった曲」もまた、多数発生することになってしまった。多数のマイリストやプレイリストがこれら「埋もれた曲」を救済することになるのだろうが、ユーザー制作のマイリストはてんでバラバラで、まとめられておらず、なかなか今から聴くのは大変だ。(その点では、くりたたかしげ氏のプレイリストは非常に有意義なので、チェックしてもらいたい。)

そこで今回は、ボカコレ期間中に「1500件」のタグ検索結果の中から「これ好き!」という曲を「TodaysRecommend(今日のおすすめ)」と、筆者がおすすめした71曲。さらにその中より、「オリジナル曲」に焦点を絞って厳選した「12曲」を紹介する。

ボカコレ2020 TodaysRecommend プレイリスト
https://kiite.jp/playlist/bz7OPORlzF ※kiite

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