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R3Magazine-Web アルバム作品レビュー

【同人音楽】様々な「終わるということ」を見つめている。Unknown-Dimension / 終わりの観測者【レビュー】

投稿日:2016年11月4日 更新日:

レビューすること自体が割と久々ですね、こんにちは、タチやん(@mofday)です。
今回は2016年M3秋の新作から、清水 嶺氏のサークル『Unknown-Dimension』の12作目のオリジナルアルバム『終わりの観測者』のレビューをします。

終わりの観測者について

ピアノのストリングスをメインに打ち出して、ヒーリング要素とオケ成分の強い趣となっております。だいたいこのどちらかのジャンルに属する楽曲で構成されています。

「終わり」という言葉からあなたはどんな印象を持ちますか?僕はわりとネガティヴなイメージが浮かんだのですが、この作品は多種多様な「終わり」の在り方を示しています。テーマの扱い方が素晴らしいです。

トラックリスト

Tr.1 終わりの観測者(2:19)
Tr.2 凍え震える季節の終わり(2:40)
Tr.3 ある少年の旅の終わり(3:58)
Tr.4 ある老人の日記の終わり(3:58)
Tr.5 ある子猫の憂鬱な夢の終わり(3:58)
Tr.6 ある渡り鳥の命の終わり(4:50)
Tr.7 千年王国の繁栄の終わり(4:34)
Tr.8 暗く荒んだ時代の終わり(5:30)
Tr.9 わたしが愛した世界の終わり(4:57)
Tr.10 終わるということ(2:17)

各曲レビュー

悲しいでもなく、寂しいでもなく、物憂げだがそれだけにとどまらぬ、ただそこにある終わりの物語の始まりを予感させる、荘厳なストリングスとピアノの絡み合うTr.1。

厳しい寒さで閉ざされた季節に終わりを告げ、メロディーが生命溢れるあたたかい世界の始まりを思わせるTr.2。

旅愁というものを、旅という日常から少年にとっての帰るべき場所という日常に戻ってきた望郷の想いを穏やかに表現したノスタルジーなメロディーのTr.3。

今までの長き人生を緩やかに締めくくり、日記を閉じる……そんな長き日常に穏やかに幕を下ろそうかという趣と、そこにどこか力強いメロディーが重なり哀愁を誘うTr.4。

嫌な夢から目覚めて、まだそれに引っ張られているかのような、寝ぼけた頭で現実を確かめるような……「夢でよかった」を表しているような、どこかホッとする穏やかなメロディーが特徴のピアノソロのTr.5。

最期の一瞬まで命の炎を輝かせ、足掻くような儚さとか細くも力強さを感じられる物悲しいTr.6。

国破れて山河あり。華やかな文化を築いていたと思われる王国の崩壊していく様が浮かぶような、鋭く破滅的なリズム感とメロディーが刺さるTr.7。

その鬱屈した雰囲気を打ち破り、これからの晴れやかな未来を予見させるような温かく開けたメロディーと壮大さが素晴らしいTr.8。

その新しい世界の始まりを、一つ前の世界の終わりと称しているのか……観測者の内情を淡々と綴ったかのような、ひとつの世界にさよならを告げているような、しかし次の新しい世界を歓迎しているようにも思える明るさや力強さも内包しているTr.9。

今までの「終わり」というたくさんの物語にも終わりを告げ、読み終えた本を閉じる時のような心境にさせられる、物語に対して憧憬を感じさせるようなメロディーが美しいピアノソロのTr.10で締めくくります。

総評

イレギュラーかもしれませんが、ある意味この作品で最も繋ぎが素晴らしいと思ったのがTr.10→Tr.1への、要するにループ再生される時の移り変わりでした。「読み終えた物語をもう一度読み返したい!」と思わせるような感情を湧き立たせるので、こういう感想が出てくるのだろうと思います。

また、「終わる」ことについてのテーマもポジティブで明るいものから物悲しいものまで様々な表現をされており、歌詞の無い物語音楽なのでは?と感じさせらるまでになっております。見事の一言です。ご馳走様でした。
特設サイト:終わりの観測者
通販サイト(BOOTH)

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