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R3Magazine-Web アルバム作品レビュー

悠久なる時を超えた絆 ファンタジック・フラワーガーデン / オルティスの花

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※このレビューには小説のネタバレは含まれておりません。たぶん。(極力削ぎ落としました)

「小説家になろう」で連載されていたノベル作品、「グリモワール・メサイアⅠ -刹那の章-」の冊子版が頒布にあたり、同時に制作されたミニアルバム。ニコニコ動画に投稿されていた「グリモワール・メサイア」と「オルティスの花」をリアレンジし、さらに新曲「ジニアの徒花」とOPとEDのインスト2曲を追加した計5曲を収録。歌唱は、結月ゆかりとIAによる。

物語の主たる二名の主人公は、剣士ライアがIA、魔術師リオンが結月ゆかりである。グリモワールを持つ魔術師リオンと、メサイア(救世主)たるライアの二人。この二人から小説(そして二曲目の)タイトルの「グリモワール・メサイア」がとられているのだと思われる。

2012年からボカロPとして活動し、「アイリス (sm27736674)」や「ヒメユリ (sm27400738)」、「エピローグワールド (sm28286778)」などの良曲を放ち、さらには「もっと評価されるべき」タグの常連だったgief art氏の(確認できる上での)初のミニアルバムということもあり、リリースが公表された時点から大きく期待していた。

レビューとしては、物語(特に小説版)のネタバレを避けなければならないので、ややわかりづらい点がでるかと思うがご容赦願いたい。

各楽曲レビュー

1.SACRIFICE (inst)
オーケストラによる綺麗で美しい旋律とは裏腹に、これから始まる残酷な物語の始まりの楽曲。雄大で力強い響きが実に勇ましく、いうなれば確かな決意のような揺るぎのない"まっすぐな"強さ。

2.グリモワール・メサイア

小説関連では一番最初にニコニコ動画にて公開された、小説のタイトルを与えられた代表曲。歌詞の視点が、ライアとリオンと視点により交互に歌唱が変わり、それぞれ美しい響きで華麗に唱う壮大で雄大な民族調。

楽曲的にも素晴らしいが、一番はやはり、IAとゆかりのグッっと迫るように儚く繊細で、そして決意のように力強い、美しい歌唱をたっぷりと楽しめる点。動画版よりも、実にクリアーになっており、聴き応えは十分以上。

歌詞視点で言えば、一番のサビと二番のサビが、それぞれ歌詞をふまえつつライア→リオン、リオン→ライアの順に、また、最後にサビが2回あるのだが、その1回目のサビと、ラスサビ終わりの最後の一言は、よくよく聴けばライアとリオンの二人のデュエットになっていたりと、その物語と感情が実にこの一曲に込められており、その大筋が完成されている。(公開されている小説版は前日譚ではあるが、そちらも章ごとに、ライアとリオンが入れ替わるスタンスを取っている。)

より付け足しをするならば、動画盤での演出(滲む視界や最後に残るリオン)も見てもらいたい。

3.オルティスの花

このアルバムのタイトル楽曲。オーケストラチックな前二曲から、重めのギターが入ったロック調の楽曲に仕上がっている。オーケストラ的ストリングスの美しい響きと、ギターによる重たい音の響きの調和が見事。アルバムを入手して聴くときは、一度SACRIFICEと聴き比べて欲しい。

視点としてはライアによる楽曲にあたる。グリモワール・メサイアが二人が歩んだ歩み…の終着点まであれば、こちらの楽曲は剣士ライアが咲かすオルティスの花と、「次」までの歩みの話。

誤解を恐れずに言うならば、希薄と刹那の楽曲。『グリモワール・メサイア』という物語の雄大な時間の長い歩みと、そこで舞ったオルティスの花の刹那の瞬間を焼き付けた一曲。

4.ジニアの徒花
物語として、「オルティスの花」と対になる楽曲。オルゴールやピアノをメインにリオンによるゆったりとしたバラード。具体的には、「グリモワール・メサイア」の後から「オルティスの花」の動画版の最後に登場した手紙へとつながる楽曲。

前半は、ピアノメインであり、音の一つ一つの響きが実に美しい。中盤はそこに、様々な音が加わり、『オルティスの花』全体としてのオーケストラ的な楽曲に変わる。最後に向けてままた音が少なくなっていき、最後はオルゴールで終わる。

タイトルと歌詞については、「私 (リオン)=実を結ばない徒花」と、「あなた (ライア)=実を結んだ」となっており、残酷で非常な物語の結末に生まれた、その平和と世界での私の想いと、あなたのその切なさとを優しく綴っている。

5.BRILLIANT (inst)
オルゴールによる実に切なく沁みるエンディング。自然と、ジャケットの最後に残った椅子の場面が、脳内にて再生される。この楽曲により、物語、ひいては『オルティスの花』が完結するといっても良いだろう。最後の一音の余韻までが、この物語であった。

この『オルティスの花』のジャケットには二脚の椅子と魔術師リオンだけが描かれており、本来右側の椅子に座るハズである剣士ライアは描かれていない。CD盤面には、ライアも描かれているが、バックインレイの内側にはリオンのアップ。バックインレイの外側は、誰も座っていない二脚の椅子になっている。

これは小説の「グリモワール・メサイア」と、アルバムの『オルティスの花』、そして一連の物語(楽曲)の「グリモワール・メサイア」、「オルティスの花」、「ジニアの徒花」を理解すれば、このジャケットも、物語の一部であるということを理解できるだろう。

TrackList

1.SACRIFICE
2.グリモワール・メサイア
3.オルティスの花
4.ジニアの徒花
5.BRILLIANT

オルティスの花について

リリース
ファンタジック・フラワーガーデン

Member
grief art(製作・作曲), 佐倉 憂(作詞), サクラマユゲ(ジャケットイラスト), Sowta(Guiter)

関連リンク

XFD
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30966232

BUY (CD/DL)
booth https://ffg.booth.pm/items/517343
iTunes https://itunes.apple.com/jp/album/id1224442735
amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B06Y3T9QM2

BUY (小説)
booth https://ffg.booth.pm/items/517295

小説家になろう (頒布小説の無料公開版)
http://ncode.syosetu.com/n2229dh/

文責:STERN(@star_ac_jp)

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